コラム 第一回切ろう会通信科の包丁を研いで

2017年7月12日

JaHTAのイベントして切ろう会通信科を開催させていただきました。

多くの方々にご参加いただき、とても感謝しております。

第一回目となる通信科ですが、古い小さな菜切り包丁を参加者の方々に研いでいただきました。

口金から推測するに、この包丁は製作されてから40年は経つでしょうか。

参加いただきました皆様は研いでいただいた方はどのように思われたでしょう。

金属が軟らかく削れ過ぎると困惑された方もいるかもしれませんね。

刃線が揃わない、かえりが除去できないなど研げば研ぐほど収集が付かないことも・・・。

しかし仕上げ始めると不思議と刃先が揃い、切れ味が出るようになったと思った方もいらっしゃるかと思います。

 

今回の包丁は参加者の技術や考える力を上げてくれるものであったのではないかと思います。

そして以下の3つのポイントを事前に考えておくことが、包丁を研ぐうえでやはり大事だと気づかしてくれました。

➀ファーストタッチの砥石

刃物を研ぐときは昔から荒砥→中砥→仕上げ砥の順で研ぎをすると言われます。

しかしそうでしょうか。

包丁を新品から研いだことがある方はわかると思いますが、えくぼと言われる砥石に当たらない部分があります。

どこが出っ張っていてどこが凹んでいるのか、どこが正しい形でどこが間違っているのかをチェックする必要があると考えています。

私は素性を知る研ぎと言いますが、荒砥で素性を知ることはできなと感じます。

研ぎの方向性を考えるにもファーストタッチの砥石は何番の荒さが良いのかを考えるといいかもしれませんね。

 

➁砥石に対する包丁を乗せる角度

砥石に包丁を乗せる角度は昔から45度と言われていますが、これもこの角度にこだわる必要はないと考えています。

確かに初めは45度で慣れることも大事でしょう。

自分の研ぎの型を作ることが必要だからです。

しかしその型ができてくれば、その型の枠を広げていくことが大切なのかもしれません。

何度の角度にアプローチするのか。

45度だけで研いでいるのもつまらないと思いませんか?

さらに天然砥石と人造砥石でも試してみると面白いかもしれませんよ。

 

③包丁を3Ⅾに捉える

包丁の研ぎの厄介なところは2Ⅾで考えると上手く研げない可能性があります。

常に3Ⅾで包丁を考えてください。

頭の中で包丁をくるくる回してどこから見ても正確にイメージできることが大事です。

難しいですが、慣れると包丁の研ぎに対する正しいアプローチ角度が見えてきたりします。

特に切り刃のひねりやハマグリ刃、えくぼはこの捉え方が大切で、それができるようになってきたらさらに刃先にその考えを移して研ぎあげていくと面白いかもしれませんね。

また皆様も新しい引き出しで包丁を研いでみてください。