協会では研ぎができるようになったことで得られた喜びをご紹介させていただきます。

野菜を重ねて煮る重ね煮のスペシャリストである山崎氏は、包丁の切れ味が料理の仕上がりに差をつけると感じ研ぎを学ばれました。

切れ味が良いことで野菜のえぐみや苦みなどの嫌な味が出てくることがなくなり、 野菜のうまみを引き出すことができるため、調味料が少なくても美味しくなることを 重ね煮を通して証明しています。
また切れ味が良いことで食材の味の劣化も軽減され、 重ね煮という調理方法は保存がきくことから、たくさん作って少しずつ料理に 入れることで効率よく野菜を取ることができます。
赤ちゃんの離乳食や調味料を 減らしたい方にもお勧めの調理法で、料理教室では食べる喜びと共に包丁を研ぐ意味を 伝えていただいております。

私が考える研ぎの魅力と研ぎを続ける理由

私は昔から熱しやすく冷めやすい器用貧乏体質などと言われてきましたが、包丁研ぎに出会ってからはその魅力にどっぷりとハマっています。

一般に研ぎとは、切れなくなった刃物を研磨し、切れるように再生する実用的な作業です。
しかし、もう一つの側面として、砥石選びや天然砥石の収集などコレクター的要素や研ぎの技術を追求する、と言う極めて高い趣味性が挙げられます。
包丁研ぎの面白いところはそういった趣味性を追求することが切れ味という実用性につながっており、研ぎ技術が向上する事で得られる達成感は心地良いものです。
私の場合、それが研ぐ喜びであり、研ぎを続けられる一番の要因になっています。

そうして研ぎが上達してくると次に切れ味を試したくなります。
食材に抵抗なく包丁が切れ込んでいく感覚に料理が楽しくなり、味にも自信が生まれます。
自分が調理したものを人に振る舞ううちに『自分の包丁も研いでほしい』とか、『包丁研ぎを教えてほしい』と言う声を頂き、研ぎを通したコミュニティから感謝される喜びが生まれ、これが自身のモチベーションアップにつながっています。

こうした研ぎから得られる喜びが大きい反面、これから包丁研ぎを始めようとする方のハードルを感じるのもまた事実です。
現在はインターネットを始め多くの情報を得ることが出来ますが、曖昧な点も多くあり、私も迷走した経験があります。
今後はそのような経験を踏まえて包丁研ぎを目指される方への適切な情報発信に寄与し、研ぎの魅力をより多くの方に伝えたいと考えています。

研ぎを学ぶことは包丁を常に良い状態に保てるようにすること。どんなに高価な包丁でも研げなければ本来の良さを発揮できません。

研ぐということは包丁技術と同じように尊重されるべきではないでしょうか?しかし、学ぶことができる場所はそんなに多くはありません。もっと包丁を学ぶ機会が増えたらいいのにと思います。
一般の方からは切れる包丁は怖いと思うのかもしれませんが、和包丁は砥石や研ぎ技術を含めて日本の文化なのですから・・。

まだ道半ばですが、今の段階でも研ぎを学んだことで以前より短時間で研ぎ終えているにもかかわらずよく切れるので仕事が楽になりました。研ぎのイロハを学んで本当に良かったと思います。
これからも一歩ずつ理解を深め鰹節削り器の研ぎや天然砥石を使用した研ぎを覚えたいと思っております。

ヤマトナデシコ・「研ぎガール」の愉しみ
自称「研ぎガール」こさかじゅんこ

普段、「何か好きなことは?」とか「特技なんてあるの?」と聞かれたら、真っ先に「研ぎ!」と答えています。
研ぎの魅力は自分の扱う食材や材料を、“余すことなく使える”ことに尽きると思います。美味しい食事を、作品を、大切な人に提供したい。その切なる思いを、最大限に叶えてくれるのが「道具の性能」。それを引き出すのが「研ぎ」だと思います。きちんと研いだ刃物で、心を込めてお料理をする。作品を作る。日々の生活を、少し豊かなものにしてくれる秘訣が、「研ぎ」なのだと思います。

また研ぐことで人生の楽しみが増えたと思っています。色々なものが簡単に手にはいる便利な世の中だからこそ丁寧に、大切に、“もの”や“こと”、そして自分を含めた“人”を扱う。慈しむ。
その心をあらわした「おもてなし」の第一歩が「研ぐ」ことだと思います。そんなおもてなしを心がけられるなんて、「大和撫子」だと思っています。「研ぎガール」の野望は、研ぎを日本女性の嗜みの一つとする事です。

これからも、研ぎ続けます。人生も刃物も。

<HOME>