2019年10月19日、20日とJaHTA主催の研ぎサミットを開催させていただきました。
第三回目は鰹節削り講習と包丁の歪取講習と1日目と2日目の内容を変えてのイベントとなりました。
鰹節削り器は今使われることがほとんどない道具です。
食文化の変化や機械化、利便性の向上が要因ではあると思いますが、使用するにも難易度が高いことも理由にあげられます。
しかし手削りで削られた鰹節は機械で削ったものとは比べ物にならないくらい香りが高く、出汁は奥行きがあるしっかりとした味が出ることがJaHTAの事前の実験で確認できたため今回のイベントをすることになりました。
まずは講習です。
鰹節削り器の主役である鉋の説明を副理事が行いました。
その後実演を行い、参加者に合計11枚の鉋を研いでいただきそれぞれの仕上げた鉋で削った鰹節を食べ比べしました。
JaHTAとしては切れ味はもちろんですが、他に味が美味しくなる要因を探らせていただくことができました。
また研ぐだけでなく競技大会にもなっており、いかに美味しく艶のある削りができるかを競っていただきました。
そして上位3名の方の鉋で削った鰹節は実際に出汁を取らせていただきました。
削り節で食べた味からのイメージとは異なる味の変化もあり、鰹節削りの奥深さを感じさせていただきました。
出汁が命。
よく耳にする言葉ですが刺身と同じなのかもしれません。
ただ魚の柵を切ったら刺身になるのではなく、切れる包丁で切るからこそ刺身であり、その裏には研ぎ技術の重要性が隠れているのです。
出汁も鰹節を鉋でただ削ればいいのではなく、研ぎや調整技術がある上で削るからこそ命と言われる出汁が取れるのではないかと思わせていただきました。
二日目は包丁の歪取講習でした。
実は非常に難易度が高いとはわかっていたのですが、あえて挑戦させていただきました。
なぜ刃物は曲がるのかという話を皮切りに刃物の見方から歪を理解し、どのように歪を取るのかを学ぶという講義を行わせていただきました。
これは包丁研ぎをする上でとても大事なポイントと考えておりますが、それ以上に「見ること」「考えること」の大切さを知っていただきたいという思いがありこのイベントに至りました。
このイベントはそもそも作りがよい包丁ではないことがポイントで、これは本当に直せるのか?という包丁ですから、まともに研げないのです。
だからこそ見て、研いで、考えることを何度も繰かえすのです。
そういった包丁だから無理をしてみたこともあったかもしれませんし、今までやってみたことがないことに挑戦したかもしれません。
いい意味でイベントで失敗していただきたかったのです。
こんなに包丁を見たことがなかった、こんなに頭を使って研いだことがなかったと思っていただけたのであれば幸いです。
今後もさらに研ぎから得られる喜びや効用を発信できるような活動を行っていきたいと考えております。
その新しい挑戦として11月のはじめを目途に、オンラインサロンで研ぎ師としての研ぎへの考え方や研ぎ方、調理の研究のデータや砥石の話などなど、通常SNSでの発信が難しい秘密の話を提供していきたいと思っております。
またFacebookや協会HPなどでお知らせさせていただきます。
どうぞ今後ともJaHTAを宜しくお願い致します。